2022年時点の、ブロックチェーンの課題と言われるものについて調べてみました。
この記事を読むことで、今のブロックチェーンの課題を理解することができます。
ブロックチェーンの課題とは?
ブロックチェーンには、次の4つの課題があると言われています。
- セキュリティ
- スケーラビリティ(Scalability)
- 相互運用性(Interoperability)
- 電力消費量
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
セキュリティ
ブロックチェーンには、セキュリティの課題があると言われています。
実際、毎年のように暗号資産(仮想通貨)のハッキング、盗難事件が発生しています。
2021年から2022年にかけて、これだけのハッキング事件が起こっています。
- 2021年4月
- EasyFi 約8,100万ドル
- 2021年5月
- PancakeBunny 約2億ドル
- 2021年8月
- Liquid 9,700万ドル以上/Poly Network 6億ドル
- 2021年10月
- Cream Finance 1億3000万ドル
- 2021年12月
- Vulcan Forged 約1億3,500万ドル/BitMart 約2億ドル
- 2022年2月
- Wormhole 約3億2,600万ドル
- 2022年3月
- Ronin Network 総額6億2,000万ドル
- 2022年4月
- Beanstalk 約1億8,200万ドル
- 2022年6月
- Horizon 約1億ドル
- 2022年10月
- バイナンス 約5.6億ドル
参考サイト:https://nordvpn.com/ja/blog/biggest-crypto-hacks/
ブロックチェーンを攻撃する方法には、次のようなものがあると言われています。
- 51%攻撃(51% attacks)
- シビル攻撃(Sybil Attack)
- フラッシュローン攻撃(Flash loan attacks)
- セルフィッシュマイニング攻撃(Selfish Mining Attack)
- Finney Attacks
51%攻撃は、コンセンサスアルゴリズムがPoW(プルーフ・オブ・ワーク)であるブロックチェーンに対して行われる攻撃です。
特定のコンピューターが、ブロックチェーン全体の計算能力の51%、過半数を有することで、ブロックチェーンを自由にコントロールできるようになることです。
過去に、Bitcoin Cash ABC(BCHA)、Bitcoin Cash(BCH)、Ethereum Classic(ETC)などのブロックチェーンが、51%攻撃を受けています。
51%攻撃がコンピューターパワーでブロックチェーンをコントロールしようとするのに対し、数で制御しようとする攻撃はシビル攻撃と呼ばれます。
その他にも、DeFiの仕組み「フラッシュローン」を悪用したフラッシュローン攻撃、2018年5月にモナコインに対して行われたセルフィッシュマイニング攻撃などの攻撃手法が存在します。
スケーラビリティ(Scalability)
ブロックチェーンには、スケーラビリティの問題があると言われます。
スケーラビリティは英語で「Scalability」、『拡張性』という意味。
システムを利用するユーザが増えたり負荷が増えた場合に、どれだけ柔軟にシステムを拡張できるかを表しています。また、柔軟に拡張できるシステムのことを、「スケーラブル(scalable)なシステム」ともいいます。
拡張方法は大きく2つあり、コンピュータのCPUやメモリなどの性能を上げる「スケールアップ」と、コンピュータの台数を増やす「スケールアウト」があります。
一般的な金融システムは、企業が中央集権的に管理しています。システムの拡張が必要になれば、システムを管理する企業が対応してきました。
それに対して、多くのブロックチェーンは分散システムであり、ブロックチェーンを記録するコンピュータは様々な人が管理しています。また、ネットワークは私たちが利用するインターネットを利用しています。
そのため、ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンは、分散システムのため拡張することは簡単ではないのです。
相互運用性(Interoperability)
ブロックチェーンのもう1つの課題が、相互運用性、インターオペラビリティ問題です。
ブロックチェーンには、世界共通の規格がありません。
それぞれのブロックチェーンが独自の実装をしているため、異なるブロックチェーン同士での相互運用は難しくなっています。これが、ブロックチェーンのインターオペラビリティ問題です。
しかし最近では、ポルカドット(Polkadot)やコスモス(ATOM)のように、ブロックチェーン同士を接続する動きもでてきています。
ブロックチェーンの相互運用性の課題が解決する日も、そう遠くないのかもしれません。
電力消費量
ブロックチェーンの課題といわれていた「電力消費量」。
ただしこれは、コンセンサスアルゴリズムがPoW(Proof of Work)であるブロックチェーンの課題です。
例えば、ビットコインのマイニングを行うためには、スペックが高いコンピュータが必要です。そして、これらのコンピュータは大量の電力を消費します。
これまでは、暗号資産(仮想通貨)のNo.1ビットコインと、No.2イーサリアムがコンセンサスアルゴリズムにPoWを採用していました。
2022年9月、イーサリアムの大型アップグレード「The Merge」により、イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムは、PoWからPoS(Proof of Stake)に移行しました。これにより、消費電力が99.95%削減できるといわれています。
まとめ
ブロックチェーンの課題をまとめると、次のようになります。
- セキュリティ
- スケーラビリティ(Scalability)
- 相互運用性(Interoperability)
- 電力消費量
セキュリティの問題は、ブロックチェーンだけでなくネットワークに接続する全てのシステムが抱える課題です。
スケーラビリティの問題と相互運用性については、ソラナ(SOL)やアバランチ(AVAX)、ポルカドット(Polkadot)やコスモス(ATOM)など、これを解決しようとするブロックチェーンが登場、注目を集めています。
また、電力消費量の課題ついては、2022年9月に、イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムがPoWからPoSに変り、消費電力は大幅に削減されます。
このようにブロックチェーンには課題もありますが、その課題を解決しようとするブロックチェーンや仕組みが登場してきています。
まだまだ課題があるブロックチェーンですが、市場ではどのように見られているのでしょうか。
実は、ブロックチェーンの市場規模は拡大しています。
グローバルインフォメーションの市場調査レポートによると、ブロックチェーン市場は、2021年の49億3,500万米ドルから2028年には2,279億9,600万米ドルに成長すると予測されています。
デロイト トーマツ ミック経済研究によれば、ブロックチェーン市場は年平均成長率66.4%増で成長を続け、2024年度には1,000億円を超える市場へと成長するといわれています。
注目を集めるブロックチェーン技術が、これからどのように進化していくのか。考えるととてもワクワクします。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。